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2013年01月

第29回-Welcome back to Tokyo! Mr.Van Dyke Parks

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1月28日(月)の夜、ヴァン・ダイク・パークスのステージを観ました。場所はビルボードライヴ東京。ヴァン・ダイクを観るのはこれが三回目になります。一回目は1988年の初来日時、二回目は1999年のトリオでの演奏。そして今回です。
1999年から今回2013年までの間に、2、3回来日していますが、いずれもイヴェントへの参加で単独ライヴではなかったため、あえて行きませんでした。ヴァン・ダイクをじっくり観たい。中途半端は嫌だと考えていたからです。単独では実に14年ぶり。待ちに待ったライヴです。

ショーは19:00と21:30の2回。平日なので仕事で何が起こっても良いように遅い方を選択。実際にスタートしたのは21:35でした。夜10時近くからヴァン・ダイク・クラスのアーティストのライヴが観られるとは、日本もずいぶん良い国になったものです。
メンバーはピアノとヴォーカルがヴァン・ダイク、ウッドベースの鈴木正人とチェロの徳澤青弦は現地参加。いや、ハープの彩愛玲も現地調達ということになりますね。ドラマーはLAから連れて来たDon Heffington

さてこの編成でどんなステージになるか? 一曲目は"Jump!"でした。続けて"Opportunity For Two"と"Come Alone"。序盤戦はアルバム『JUMP!』からブライアン・ウィルソンとのデュオ『オレンジ・クレイト・アート』('95)へ、という流れです。
そして今回の目玉はヴァン・ダイクのMC! 冒頭の「フクシマ以降は音楽を通じて世界はひとつ!」にはじまり、日本人にもわかりやすい英語でゆっくりと話しかけてくれました。

7曲目の"Delta Queen Waltz"では作曲者でオリジナルシンガーのジョン・ハートフォードの話も。2001年に63歳で亡くなってしまった彼について「良い友人だった。その人がいなくなっても音楽は心の中に残るからね」と紹介。なんでもハートフォードは自宅で脳腫瘍で倒れたが奥さんがスキー旅行中か何かで3、4日間倒れたままで、発見から数日で亡くなってしまった…ということを言っていたように思います。ハートフォードの死については「早すぎる」という声が多いようですが、そんな悲劇があったとは。

8曲目にゆったりとしたインスト"Danza"を挟み、"Night In The Tropics"と"FDR In Trinidad"という怒濤の展開に。「進行がちょっと早いのでは?もう終わり?」と思いましたが、続けて最後のハワイ王、リリウオカラニ女王を歌った"Cowboy"、そして"Sail Away"で一旦終了。
親日派ながらも捕鯨と真珠湾攻撃だけは許せないヴァン・ダイクらしく、"Cowboy"の前には「1941年に攻撃されて…クレイジーだ。ハワイはそんな場所じゃない!」とストレートに怒りをあらわに。大丈夫ですよ、ヴァン・ダイクさん。今の日本人は歌詞にある成金ゴルフ旅行よりも、ハワイの歴史を辿る旅の方が主流ですよ。
前半では少々お疲れ気味だったヴァン・ダイクも、このころになるとノリノリ! "Sail Away"の途中だったか、ピアノの横に置いてあったコップを、勢いよく振り回した左手で倒してしまい水浸しに。しかし曲は中断せずになんと曲中で「Kan-paaii!!」。これには笑いました。

アンコール1曲目は"All Golden"。そしてスペシャル・ゲストの細野晴臣御大がアコースティック・ギターを持って登場。曲はまさかの"Lazybones"で、歌い出したとたんに場内熱狂! 続く"香港Blues"で俺熱狂!!(苦笑)。お気づきの方もいらっしゃるでしょう、ホーギー・カーマイケル・メドレーです。
"Lazybones"は1933年、"香港ブルース"は1943年の曲でいずれも細野サンがアルバムでカヴァーしています。そしてこのバンドで演奏してもまったく違和感ナシ。ヴァン・ダイクと細野サンの深い繋がりを改めて感じた瞬間でした。
しかもオリジナルでいえば古いほうの"Lazybones"が2011年リリースの細野サン最近作『HoSoNoVa』に、新しいほうの"香港ブルース"が実に37年前、1976年リリースの『泰安洋行』に収録されているというのが、なんとも時代を超越した感じで。1976年、ヴァン・ダイクでいえば3枚目のソロアルバム『ヤンキー・リーパー』('75)発表の翌年…このあたりの時代性やシンクロニシティを考え始めると止まりません。

それにしても若干実験的、室内楽的だったヴァン・ダイクのバンドが、細野サンが加わるとグッと引き締まったデルタ・ブルース・バンドになったような…。バンド・サウンドというのは不思議なものです。
しかししかし、ヴァン・ダイク特有のマッドでストレンジなアレンジも健在で、今回は「なんかヘンなフレーズが聴こえる!」と思うと奇妙なオブリガードを入れるハープだった、ということが多かったですね。ハープのフレーズ、かなり効いていました。

ラストは"Sailin' Shoes"、もちろんローウェル・ジョージの思い出を語りながら。しかしここでまた不思議な感覚がありました。リトル・フィート・ヴァージョンの"Sailin' Shoes"は'70年代の雰囲気たっぷりのサザン・ロック&ブルース、ヴァン・ダイクの'72年ソロ『ディスカヴァー・アメリカ』の演奏もサザン・ロックをカラフルにした感じでした。近年の演奏ではライヴ・アルバム『ムーンライティング』がありますが、そちらは映画音楽にも似た流麗なサウンドで。
ところがこの日の"Sailin' shoes"はそれこそホーギー・カーマイケルが書いたアメリカン・ルーツ・ミュージックのように聴こえる! サビの部分を微妙に変えて歌っているのと…演るほうも聴くほうも、その直前の2曲を引きずっているのでしょう(笑)。「こんな曲だっけ?」というか、「本当はこういう曲なのか!」というか。

全16曲で終演は23:00。'99年の来日時はサイン会が会場のすみで非公式に行われましたが、今回はゴンチチのように(?)「ロビーでのEP、LP、CD購入者は並んで下さい」と公式に行われました。
会場購入品だけでなく持参したものにもサインをしてくれるため、並んでいる人達は他人が何を持ってきているかに興味津々(笑)。リンゴ・スターの『RINGO 2012』はともかく、'76年の『Ringo's Rotogravure』のLPを持って来た人もいて。ソッチがそう来るならば、私もフィル・オクスの『Tape From California』('68)と『Greatests Hits』('70)を2枚重ねて持って行くんだった?!

そして私の番に。ロビーで買ったベストアルバムと当時に、この時のために持参した…1988年、初来日時のプログラムにもサインをして貰いました。拡げたページには1999年に貰ったサインがあり、ヴァン・ダイク本人も驚いていましたが、そばにいた日本人ツアースタッフが「これ何ですか?!」。
スタッフが「彼は3回も観てるよ!」と説明してくれて、さらに私が「隣にいるのは私の妻ですが、彼女もあなたのファンで…」と話すと、ヴァン・ダイク本人から「Kawaii!浮気しちゃダメだぞ。良い子(Good boy)でいろよ!」とクギを刺されました。ヴァン・ダイクにそう言われては何も出来ない。わずか1、2分のやりとりですが、緊張していたのかグッタリと疲れてしまって、席に戻ると放心状態(苦笑)。

それが上の写真。'99年のサインに"1-13, Van Dyke Parks, Billboard Live!"と書き足してくれました。
(2013/01/30追記:いま考えてみると「日本人ツアースタッフ」ではなく、今回ヴァン・ダイクのアテンドをされていた小倉エージ氏だったような気が)

1943年1月3日生まれのヴァン・ダイク、MCで「70歳になったのだけど」を繰り返しており、確かに過去2回のステージと比べると歳をとったなと思わせるところもありました。しかし逆にロック色が薄くなり、特にヴォーカルから一層ルーツ・ミュージックを感じさせる、そんなサウンドになっていました。文中にある通り、「ずっと聴いてきた、お馴染みの曲を聴いても今までとは違う」という感じです。

サイン会の時にオフィシャル・サイト"BANANASTAN"をしきりにPRしていましたが、サイトを観ると海外でも年に数回ライヴをやっている模様。今度は私の方からLAにでも行って、初来日時のプログラムに3回目のサインを貰おうかな?

ヴァン・ダイク・パークス
with special guest 細野晴臣
セット・リスト

Van Dyke Parks
with special guest Haruomi Hosono
Set List


1. Jump!
2. Opportunity For Two
3. Come Along
4. Orange Crate Art
5. Hold Back Time
6. Wings Of A Dove
7. Delta Queen Waltz
8. Danza
9. Night In The Tropics
10. FDR In Trinidad
11. Cowboy
12. Sail Away
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E-1. The All Golden
E-2. Lazybones
E-3. Hong Kong Blues
E-4. Sailin' Shoes

Piano,Vocal:Van Dyke Parks, Drums:Don Heffington, Bass:Masato Suzuki, Cello:Seigen Tokuzawa, Harp:Sai Ailing, Guest Vocal and Guitar:Haruomi Hosono

*E-2~E3 with Hauomi Hosono on Guitar, Vocal
*E-4 with Hauomi Hosono on Guitar

January 28, 2013 at "Billboard Live" Tokyo, Japan (2nd set)

※上記セット・リストは会場にてサダナリ採録。「同じセットを観たが違っている」、「他のセットでは別の曲をやった」等ございましたらお知らせ下さい。

◇Link
僣越ながら1999年作成の拙著ヴァン・ダイク・パークス徹底研究ページ
"Discover ! Van Dyke Parks"
過去のライヴ・データはこちらに書きました。

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