Home > 2013年07月

2013年07月

第35回-ニッポン放送の音楽

前回の「NHK-FMの音楽」に続いて、ラジオ番組のテーマ、フィラー特集。今回は「ニッポン放送の音楽」である。

この長文、やっと書ける。実は某所の有料コンテンツで2曲ほど採り上げていたため、その公開よりも先にここに書くわけには行かなかった。そちらが先日公開されたので、よし、こちらにはじっくりと書くぞ(笑)。

神奈川県逗子市に実家があった1970年から2000年まで、ニッポン放送を、ともかく聴いていた。ニッポン放送の送信所は対岸の木更津にあり、在京AM局の中では圧倒的に強いという理由もあったが、なぜか神奈川県の人間はニッポン放送が好きで、小学校でも中学校でも高校でも、ものすごく人気があった。他に聴くもの、観るものがないときなど、朝5時台の「早起きもう一度劇場」から始まりご存知「オールナイト・ニッポン」まで、まる一日聴いていたのではないか?

そんなニッポン放送の番組テーマ曲で、日本中の音楽ファンが探している2曲がある。まず1曲は1970年代の後半に放送していた「拝啓・青春諸君!」のテーマ曲。尺八による「テイク・ファイヴ」だ。月曜から金曜まで、10分間の帯番組で、みんな繰り返し繰り返し聴いていたもので、ある世代にはいまだに強烈な記憶として残っているようだ。

しかし演奏者は諸説紛々。山本邦山だという人もいれば、ジョン・海山・ネプチューンだと(自信タップリに)いう人もいる。

結論としてこの二人のどちらでもない。邦山は'60年代に原信夫や宮間利之と共演、'70年代以降は佐藤允彦や富樫雅彦とのモダンジャズ演奏でも有名だが、この時代の「テイク・ファイヴ」は演奏していない。サン・ディエゴ出身の海山は'77年から日本に住んでいるが、ファースト・アルバムが'78年なので時代が合わない。

この釈然としない状況をある連載にそのまま書いたところ、なんと数日のうちにご兄弟がニッポン放送にいらっしゃる方から編集部にメールを頂き、「演奏者は村岡実。'67年の録音だが'12年にCDで再発されている」ということをお教え頂いた。村岡実だったか。'70年代のモダン尺八で絶大な人気を誇った実力派。なんで名前が浮かばなかったんだろう…。

アルバムはこちら、'67年の『ハーレム・ノクターン』。'12年にコロムビアの「和ジャズ・リイシュー・シリーズ」で初CD化された。なんといまや、「拝啓・青春諸君!」のテーマはCDで聴くことが出来るのだ!

'70年のアルバム『バンブー』でも「テイク・ファイヴ」を演奏しているが、「拝啓・青春諸君!」のテーマではないのでお探しの方はご注意の程を。
村山の「テイク・ファイヴ」はYOUTUBEにはアップされていないので、むしろこちらの方が貴重という気もする'77年3月15日放送の「拝啓・青春諸君!」そのものを。



本当に、何人の小中高校生、大学生がこの村岡実の「テイク・ファイブ」でジャズという音楽の渋さ、大人っぽさを知ったことか。ブログなどを見ると、「アドリブの部分もいまだにはっきりと覚えている」という声も多く、まるでイリノイ・ジャケー(ts)のような影響力である(笑)。

そしてもう1曲はその次の番組(笑)。「夜のドラマハウス」のハード・バップ・ジャズだ。

これこそ判らなかった。村岡のように日本人ジャズメンの演奏かと思い、デビューから数年間の日野皓正(tp)をシラミ潰しに聴いたりもした。
しかし、ある時、ネットを検索していると「ナット・アダレイである」という記述を見つけた。'63年のアルバム"Little Big Horn"を聴くと…おお!これだ!

番組のオープニングで流れていたソロのテーマは1曲目"Chico, El"のドアタマ、番組テーマ曲は8曲目の"Hustle With Russell"のようだ。残念ながらこちらもYOUTUBEにはアップされていないのでこちらでご確認を。

しかしこの"Little Big Horn"が…'99年にOJCでCD化されたが既に廃盤。簡単には手に入らないようだ。中古も見かけるが1万円以上。これはじっくりと時間をかけて探すか…。
こちらも'77年3月15日放送の「夜のドラマハウス」を。これアップした人は神だな(笑)。



この他にも「玉置宏の笑顔でこんにちは」のテーマ、カラベリグランドオーケストラの「太陽の中の恋」(オリジナルはベイ・シティー・ローラーズ!)なども気になるところだが、なんと言ってももう15年以上探し続けているのが情報番組「ハロー神奈川」のテーマ曲!

サイモンとガーファンクルの「フィーリング・グルービー」であることは大昔から知っているが、カヴァー演奏者が…。同曲のカヴァー・ヴァージョンを次々に聴いたが、「これだ!」という演奏には当たっていない。どうも101ストリングスの演奏ではないかと睨んでいるのだが…(音源入手出来ず!)。

第34回-NHK-FMの音楽

ここ2回ほど、マニヤックな映画記事が続いたので、ぐっと間口の広そうなラジオ関係について。

「NHK-FMの音楽」とはなんとも漠然としたタイトルだが、内容的にはまさにNHK-FMの音楽なのである。

ここ何年か、ラジオで流れていたテーマ曲やジングル、フィラーなどが気になって仕方がない。老化による回顧趣味とは思いたくない。ムード音楽的なものにニューヒット(という言い方も昭和だが…)がないことと、不明だった曲が全世界規模のネット検索で判明することなどが影響しているのだろう…と前向きに解釈。
モンドミュージック、渋谷系によるサントラ発掘が終息してからもう10年以上、そろそろ次のムーヴメントとしてムード音楽あたりが盛り上がってもおかしくはない。中古盤の市場価格を見ると、00年代中盤ごろからすでに高騰の兆しがあるが…。

さて解説はこれくらいにして本題。まずはこれから行こう。1980年前後、夕方になると日本中の家庭に流れていた、Stuffの"My Sweetness"。邦題は「いとしの貴方」。フェンダー・ローズで始まり、Bメロがワウのかかったクラビネット、1'30"くらいからのロングトーンはポリムーグか?…(アープ・オデッセイではなさそうだ)。



これは16:10から18:00まで放送していた「軽音楽をあなたに」のテーマだった。選曲内容は週替わりだったか、日替わりだったか。
'80年か'81年の夏に、'60年代のビルボード・チャートを全曲かけるという企画があり、夢中になって聴いた記憶がある。そして楽しみにしていたグーシーズの「ミニミニロック」('67年のヒット曲。木の実ナナがカヴァー)が「音源が見つからなかった」とかで放送されずガッカリしたことまで覚えている。最近変更になった源泉徴収の新しい計算方法は忘れてしまったのに…。
ちなみに「ミニミニロック」はいまやYOUTUBEで、高音質、解説入りで聴ける。便利な世の中になったものだ。

「軽音楽をあなたに」が終わると18:00からは10分間ニュースがあって、18:10から19:00までは各局ローカルでリクエスト番組だったと思う。当時私は神奈川県の逗子市に住んでいたので、横浜放送局を中心に、東京、千葉も聴いていた。そのテーマ曲が確かこれ。ビーリー・ヴォーン楽団の「真珠貝の歌」。



ビリー・ヴォーンではなぜかこちらの「峠の幌馬車」も覚えているのだが、これはエンディング・テーマだったのか?…(19:00前後の時間調整用のフィラーだったようにも思う)。



このリクエスト番組の水曜日か木曜日が「ムード音楽、イージー・リスニング特集」で、その番組こそが今の私の"音楽・映画ライター"としての基礎を作ったともいえるのだが、これはいずれ(公開翌日追記:横浜局は男女二人で情報も交えて、男性一人でリクエスト・オンリーだったのは東京局かもしれないが…さすがに記憶が薄い)。

そして! 実は20年以上探していて、つい最近発見。思わず「おおーッ!!これだッ!」と叫んでしまったのが、カラベリ楽団の「グラン・プリのテーマ」。



これは19:10から20:00までの「サウンド・オブ・ポップス」のテーマ曲で、私の母親が台所のラジオで毎日この番組をかけながら夕飯の支度をしていた。私の部屋は台所のそばだったので多分数千回聴いていると思う。
この「サウンド・オブ・ポップス」、'80年代初頭にかなり先鋭化、過激化して、「台所からなんだか異音が…」と思ったらスロッビング・グリッスルだか、サイキックTVだかがかかっていたことがあった(そんな中、ウチのオカンは平然と晩飯を作っていた)。

『グラン・プリ』は'66年公開のアメリカ映画で、監督はジョン・フランケンハイマー、音楽はモーリス・ジャールだった。日本ではソウル・バスが担当した秀逸なオープニングと、三船敏郎の客演で知られる。
映画音楽は通常、オリジナルが最も良く、カヴァーはそれに劣るはずなのだが、この「グラン・プリのテーマ」に関してはカラベリ盤の方が人気が高い。確かにこのストリングスのパッセージや、後半部でのバースの応酬は「素晴らしいにも程がある!」という感じだ。そういえば、当時は「カラベリときらめくストリングス」と呼んでいたか…。

さて、締めくくりはここ十数年の再評価ですっかりおなじみになった、ブラジルのフュージョン、いやクロスオーヴァー・グループ、アジムスの「Fly Over The Horizon」。こちらは冒頭のStuffとは違い、アープ・オデッセイをデモのように多用(笑)。ゆえにちょっと'70年代の坂本龍一に似ている。



いや、もう、イントロだけで全身が溶けそうになる。「クロスオーバー・イレブン」のテーマ曲。当時はこの番組が終わると短いニュースがあって、24:00で放送終了だったか(そのあとはFM東京で「ジェット・ストリーム」を聴く)。

「クロスオーバー・イレブン」といえば、いかに曲間の喋りを除いて、音楽だけを"エア・チェック"するかが大問題。「そして男は去って行った…」など、なんとなく喋りがスローになり「いまだッ!」というところで押さえていたラジカセのポーズ・ボタンを離すが、ひと呼吸あって「…思い出を携えて」などもうひと言あった時は大パニック! 改めて巻き戻すと間に合わず、さりとて喋りは入れたくない! とりあえずそのままにして、夜中に秒数を測って消去したかなぁ…(ところがここでタイミングを逸して曲のアタマが消えてしまったり)。考えてみると、当時の中高生はかなり高度なアナログ・レコーディングや編集作業を日々行っていたのではないだろうか?

NHK-FMのテーマ曲で思い出される1980年前後の音楽生活。実は最も鮮明な記憶は、それぞれの曲(特にカラベリ!)がフェード・アウトして流れる局名アナウンス「JOGP-FM、NHK横浜放送局です。横浜からは81.9MHz、小田原からは…」なのだが…。

Home > 2013年07月

Recent Comments
Recent Trackback
Search
Meta
Links
Feeds

Page Top