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2013年09月

第37回-ハーブ・アルパート賛・その1



ハーブ・アルパートについて記す。長くなりそうなので数回に分ける。まずは第一回。私とハーブ・アルパート。

前々回のブログにも書いたが、1日中ニッポン放送を聴いていた小学生時代の私は、同時に1日中ハーブ・アルパト&ティファナ・ブラスも聴いていたと言える。有名な「オールナイト・ニッポン」のテーマ曲、「ビター・スウィート・サンバ」はいうまでもないが、他の番組で使われていた「ティファナ・タクシー」や「その男ゾルバ」などなど。前者は午後のワイド番組、「哲っちゃんの歌謡パレード・ニッポン」内の「ラッキーナンバーの抽選会」コーナーで、さて、後者は何だったか…。

ある時に「オールナイト・ニッポン」のテーマ曲がティファナ・ブラスの「ビター・スウィート・サンバ」であることを知り(これまた先日書いたNHK-FMのイージーリスニング番組だったと思う)、音源探しが始まった。中学1、2年の頃だ。

そして地元・逗子銀座通りのレコード店に、ティファナ・ブラスのミュージックテープがあることを発見。確か中学1年の誕生日(1978年11月15日)に親に買ってもらったのではなかったか…。
中学2年の秋、放送委員だった私は昼休みの校内放送を始めて1本まるまるやらせてもらえることになり、テーマ曲だったパーシー・フェイス楽団の「夏の日の恋」を早々にフェードアウトして、そのミュージックテープから「ビター・スウィート・サンバ」をかけた。この時に、校舎全体から「ドッ!」と笑い声が漏れたことを覚えている。私の記憶の中では「校舎が揺れた」となっているが、まぁ、これは時間が創り出した美しい思い込みだろう(私が1000人規模で人を笑わせたのはこの時が最初で最後だろう)。

翌年、中学3年の時には大船駅横にあった伝説の中古レコード店「大船レコードセンター」でティファナ・ブラスの2枚組ベストLPも買い、すっかりファンに。この2枚組、音楽・映画ライターの仕事をしている今でも「良い選曲だった」と思うのだが、中学時代に友人に貸したまま行方不明である(大学時代に駅でバッタリ会い、「返して欲しい」と迫ったことがあった)。対照的に最初に書いた「ティファナ・ブラスのミュージックテープ」は、いまだにレコード棚の片隅に置いてある。AKAIのカセットデッキも健在で、いまでも良い音でちゃんと聴ける。

高校、大学時代のパンク・ニューウェイヴ、ジャズ、シブいロック期はさすがにティファナ・ブラスとは疎遠だったが、社会人になってA&M、バート・バカラック、ヴァン・ダイク・パークスなどから再び注目し始め、決定的になったのは2本のアメリカ映画である。

1本はリドリー・スコット監督、ニコラス・ケイジ主演の『マッチスティック・メン』('03)。ニコラス・ケイジ演じる潔癖症の詐欺師ロイは、強迫性障害からの抜け道を探している。その方法として、妻と妊娠中に離婚したため、顔も知らない娘に会ってみる。初対面の娘は14歳。二人は次第に分かり合い、良い関係を築くが…ラストはちょっと言葉もないほどのどんでん返し。あまり話題にならない映画だが、これが実に面白かった!
この詐欺師ロイが、家で絶え間なくかけているのがティファナ・ブラスのLPレコードなのである。舞台となったLA郊外の風景、光線とティファナ・ブラス。これがシビレるほどにハマっていた。

それから10年近くが経ち、再び「LA郊外とティファナ・ブラス」を映画で観る。今度は実写ではなく、人形アニメーションである。2012年公開のティム・バートン監督作品『フランケンウィニー』。
舞台となったニューオランダは、バートンの出身地でもあるバーバンクがモデルだろう。かの「バーバンク・サウンド」で有名な、ハリウッドに近いワーナー・ブラザーズの街である。この映画、時代設定がなんとも不思議で…バートンの少年時代、1960年代なのだろうか。
この映画で、主人公ヴィクターの母親が家事をする時のBGMがティファナ・ブラスの「グリーン・ペッパー」だった。そしてこれが…天にも昇るような快感だった。不思議なものでニンゲン50歳近くなると、数々の有名曲よりもこんな小品の方にグッと来るのである。フシギである。

かくのごとく、アメリカ映画におけるティファナ・ブラスのインパクトは、もう、どう表せば良いのか…。このようにして、私の中ではティファナ・ブラスと言えば、「LA郊外のテーマ曲」としてすっかり定着してしまった。演奏しているハーブ・アルパートもLA出身、彼とジェリー・モスが設立したA&M(Alpert & Moss)レコードもLAが拠点。

しまった。去年LAのダウンタウンに滞在した時に、ティファナ・ブラスを聴かなかった。今年は行かなかったが、来年あたり、ぜひウェスト・ハリウッドを車で流しながら「グリーン・ペッパー」を…。

(つづく)

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