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2013年11月

第39回-ニューウェイヴ時代のキャンディー・ポップ

ハーブ・アルパートからA&Mについて、ポップスの中でもシブめのところを続けて書いたが、今回は一変。'80年代ポップのキャッチーな部分に触れる。

ポップ・ミュージックは不思議なもの。熱心に顧みられるジャンルと、忘却の彼方に放置されたジャンルが歴然と分かれる。前者は職人的な良質なもの、後者は一時的な流行だったチープなもの…かというとそうとも言えず、どう考えても後者なのに、20年、30年を経て大騒ぎになるものもある(例えばテクノ歌謡)。

さて、私の大好きな、今でも胸が締めつけられるほど好きなオルタード・イメージはどちらだろう。確か日本での最初のヒットはこの「Happy Birthday」('81)ではなかったか。これがデビュー作かと思っていたが、実はサード・シングルだったそうだ。



「またなんでこんなアイドル・バンドを?!」とお考えかもしれないが、この「Happy Birthday」は同年9月に全英第2位を獲得しており、英国の音楽雑誌NME誌のブライテスト・ホープ(最優秀新人)部門では第1位に輝いている。評価の高い期待の新人バンドだったのだ。

なんというのかな、このポップなシンセと掻き鳴らす感じのギター、そしてクレア・グローガンのコケティッシュな(しかも強烈な英国訛りの)ヴォーカル。これぞ'80年代英国ポップスの頂点という気がする。
『笑っていいとも』で誕生日のタレントが登場すると、タモさんの紹介とともにスティーヴィー・ワンダーの「Happy Birthday」がナントカのひとつ覚えのように流れるが、たまにはオルタード・イメージを流せば良いのに…と思い続けて30年近くなる。

続くヒットは「I Could Be Happy」。直後のリリースで、しかもプロデューサー(マーティン・ラシェント)が同じなので、なんとも「Happy Birthday」をちょっと暗くしたような仕上がりだが(苦笑)、この曲でも全英7位になっている。日本のTVやFMでも良く流れていた。個人的にはイントロが…うっかり油断していると泣きそうになって来る(これで?!)。



このあとバンドは変革する。'83年の3rdアルバム『Bite』(トニー・ヴィスコンティがプロデュース?!)でアメリカ進出を目指したそうで、ストリングスやコーラスの入った重厚な音造りになり、初期からのファンを驚かせる、が、これもまたイイ味。「これこそ再評価を!」と絶叫したくなる名盤といえる。



この「Bring me closer」のプロモ、高校3年生の時に『オールナイトフジ』で観たなぁ。たぶん録画したVHSが実家のどこかにあるだろう。一所懸命歌っているが、まぁ、巧いんだか下手なんだかそれが味なんだか…。

英国訛りのコケティッシュ・ヴォーカル、クリアなような籠もったようなカッティング・ギター、微妙なハモりのメロディー・ベース、深めのリヴァーブがかかったシンセやガジェット、そしてちょっと暗めのメロディー・ライン…私の個人的な「ツボ」が全て揃っているという特別な事情はあるが(苦笑)、こんなクチパクで飛び跳ねているだけの、ニューウェイヴ時代が生んだキャンディー・ポップとも言えるバンドに、ポップスの本質のようなものを感じてしまう。そう、私はそういう世代なのだ(と胸を張って言う!)。

「それならばきっとアレやコレも好きでしょう?」-みなさんご想像のアレやコレについては次回以降で。

ポップ・ミュージックの歴史に絡めて、色々と論じようかとも思ったが、長くなるのでヤメた。大好きな3曲をみなさんにご紹介出来ただけで満足だ。ともかく知って、聴いて欲しいのだ!

ちなみにバンドは米国進出の失敗もあり'83年末に解散。ヴォーカルのクレアはメンバーと結婚して幸せに暮らしているそうだ。

◇もう少しちゃんとした説明をご希望の方はこちら。素晴らしい解説です!
http://d.hatena.ne.jp/liquidmania2/20121117

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