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2014年09月10日

第47回-80年代の私のアイドル-トニー・マンスフィールドその2

「私の高校時代はトニー・マンスフィールドと共にあった」-あまりの思い入れに文章止まらず。'80年代のサウンド・メーカー、トニー・マンスフィールドのご紹介。2日連続の更新。
前回は彼のホーム・グラウンドだったバンド、New Musikについて書いたが、今回はプロデュースワークについて。

日本で最もトニ・マン(と皆呼んでいた)に近かったのは高橋幸宏だろう。'81年のアルバム『NEUROMANTIC~ロマン神経症』のロンドン・レコーディングにトニ・マンを呼び、独特のノイズ使いやシンセ・サウンドを導入した…ことになっているが、実は彼を含めNew Musikのメンバーは楽器が超ヘタクソで、「レコーディング当日になってドタキャンして逃げた」という逸話もあったように思う。実際のところはどんな絡み方だったのだろうか?

そしてトニ・マンがアレンジした最も有名な曲は、かの元祖ネオアコ、アズテック・カメラのデビュー曲である、これだ! "Walk out to winter"



いやもう、なんというか、イントロのシンセ一発目から、「トニ・マンだ!!」と叫びたくなるオーヴァー・プロデュースっぷり?!
これを聴いたのは「高橋幸宏のオールナイトニッポン」で、しかもアズテック・カメラのデビューは日本でもそこそこ話題になっていたので、なんと翌日、「日本盤はいつ出ますか?」とジャパン・レコードまで電話してしまったのだな、逗子在住のたかが男子高生のクセして(笑)。

ところが電話の相手は「確かに*月*日に国内盤が出ますが、"Walk out to winter"のアレンジは"その人"ではない」と。どうやら英国盤12インチだけがトニ・マンだったらしい。しかし「あのアズテック・カメラはトニー・マンスフィールド編曲のシングルでデビューした」-これはもっと大々的に語られて良いロック史の1ページだと思うのだが…。

しかししかし、トニマンはこの後でとてつもない仕事をする。パンク御三家のひとつ、ダムドのヴォーカル、キャプテン・センシブルに映画『南太平洋』のエキゾチック・ナンバーを歌わせて、全英No.1ヒットをモノにするのだ! それがこの曲「ハッピー・トーク」である。



しまった。前回、New Musikの"Luxuary"を「ジンセイナンバー1テクノ」と書いたが、こっちこそがナンバー1か?

なんというか、これぞトニー・マンスフィールドの頂点。曇ったような、なぜか懐かしい感じのするシンセの音にキラキラのリフ。たまらんなぁ。またキャプテン・センシブルがハマってるんだよ。
この曲が入ったキャプテンのソロ・アルバム『Women and Captains First』('82)をプロデュースして…そしてこのあと失速してしまったような気が…。

今まで書かなかったが、同時期にもうひとりMari Wilsonというレトロ・ヴォーカリストでもスマッシュヒットを飛ばしており、'83年のネイキッド・アイズもそこそこに売れたように思うが…'84年にA-HAの世界的ヒット"Take On Me"をアレンジするもボツになり、Yip Yip Coyote(イップ・イップ・コヨーテ)なる珍妙なテクノ・ウェスタン・バンドでケチをつけ…まぁ、Yip Yip Coyoteはサビのところで「サダナリ、イヒヒヒ」というソラミミがあるので紹介しておこうか。0'45"付近。今見ると「イカ天」バンドみたいだなー。ちょっと新し過ぎたか?!



さて、この'80年代半ばから'90年代にかけて、トニー・マンスフィールドに代わって全英はもちろん全世界的に大ヒットを飛ばしていた実によく似たプロデューサーがいる。ご存知、トレヴァー・ホーンである。

こうしてサウンドを挙げて行くと…'80年代の前半、シンセがアナログだった頃にはトニー・マンスフィールドの魔法が炸裂していた。しかし'83、'84年頃、サンプリングやデジタル・シンセが登場するとなぜか精彩を欠き、それらを徹底的に駆使したトレヴァー・ホーンの時代がやって来た、という気がするなぁ。わずか「数年の人」だったのか…。

(ちなみに'90年代には誰が誘ったのか遊佐未森やチャゲ&飛鳥のアレンジもやっているようだが、それはまったく聴いていない)

以上、'80年代における私のアイドル、トニー・マンスフィールドについて。ここ10年くらいは全く音沙汰がない。こう言ってはナンだが、2004年の英国プリンセス・トラストでかつてプロデュースしたアーティストを集め、そしてリリースから25年目の初めての「バグルス生演奏による『ラジオスターの悲劇』」で満員のウェンブリー・アリーナを熱狂させた(DVD買って全オレも泣いた)トレヴァーとは大違いなのである。寂しいのである…。

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