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2016年06月

第65回-冨田勲・賛-その2「パピプペ親父」

冨田勲のシンセサイザー音楽は日本だけではなく世界的にも「トミタサウンド」と呼ばれるが、そのトミタサウンドには「常連」ともいうべきいくつかの音色があり、ファンはそれに夢中になり、トミタ本人も自分の分身のように愛でていたようだ。それはまるで手塚治虫の漫画に登場するヒゲオヤジやヒョウタンツギのような存在で…と書きかけたら、なんとその両者を比較するWebページが存在した! 驚いた!!

さて、トミタサウンドの常連で最も重要なのは通称「パピプペ親父」だろう。トミタがムーグに「喋らせよう。歌わせよう」と考えて作った、人間の声を模したサウンドである。
古くは『月の光』('74)、『展覧会の絵』('75)にも登場していたが、衝撃的だったのは『惑星』('77)のロケット打ち上げの場面。ここではなんと音程なしに管制官と宇宙飛行士として喋り、続けて「惑星」のテーマを鼻唄のように歌い、そして打ち上げのカウントダウンを行っている。ムーグのシンセがである。下記の動画の50秒付近から2分半付近にかけて…。



「トミタは本当にこのサウンドが好きなんだな」と痛感したのは前回紹介した「スター・ウォーズのテーマ」。あの曲では見事に(?)全編のベースラインを務めている。

この「パピプペ親父」が偉大なのは、この発想、この手法がデジタル化され、母音・子音を持ち、オヤジが女声になったのが「初音ミク」であるというトンデモない話に繋がるからだ。初音ミクが登場した時に、トミタは「やっと望んでいたものが出来た」と思ったそうだ。「パピプペ親父」はほぼ世界初のヴォーカロイドとも言える。ミクに先駆けることほぼ40年。そしてトミタは「イーハトーヴ交響曲」で初音ミクを全面的にフィーチャーした。

前回は「国産の踊れるシンセの曲はトミタのこの1曲(「スター・ウォーズのテーマ」)しかなかった」と書いた。同様に、1970年代に於いて日本で、いや世界で唯一のヴォーカロイド手法を用いていたのはトミタだったと言えるだろう。
クラフトワークの「アウトバーン」('74)や「ヨーロッパ特急」('77)にもロボットヴォイスは登場するが、あちらはヴォコーダーだった。リアルタイムで歌われる人間の肉声を音源とせず、電気的に合成された音源を変化させてヴォーカルとする。そこにこの「パピプペ親父」の凄さはある。名前はトンマだが…(サウンド編つづく)。

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