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第53回-魅惑のロックインスト-その5・80年代ポストモダンな音楽

ロックインスト特集第五回目。前回、スペシャルズの「ナバロンの要塞」を経て、ファン・ボーイ・スリーの「Murder She Said」。激動の'80年代、ジワジワと時代が変わっている。

正確には少し時代が前後するのだが、インスツルメンタルということならばこのバンドを挙げないわけには行かないだろう。イギリス・マンチェスターのインディーズ・レーベル、ファクトリー・レーベルから登場した、ドゥルッティ・コラムのことを。

ファクトリー・レーベルは2002年の映画『24アワー・パーティ・ピープル』のモチーフになったジョイ・ディヴジョンなどのポスト・パンクを中心としたレーベルだが…ちょっとうまく文章化出来ない。未聴の人はまずこちらを。'80年代の前半、「日本中のカフェバーでBGMになっている」とまで言われた(苦笑)、代表曲の「フェイヴァリット・ペインティング」('82)。埋め込みが出来ないのでリンクからお聴き頂きたい。

https://youtu.be/v5y7m7MJZUQ

ピストルズなどの初期のパンク、それに続くハードコア・パンクやノイズに狂っていたロックファンが、なぜかこの超シンプルなリズム・マシンに合わせて奏でられるピアノと深いエコーのギター、そして遠くで鳴るベースに夢中になったのである。
リアルタイムでこの曲を聴いて、そして夢中になったのは高校生の時。ご多分に洩れずハードコア・パンクやノイズ、ハンマー・ビートやインダストリアル等々、ハードなサウンドばかり聴いていたが(そして前髪は口元までありデップでボサボサにして。そんな時代が私にもあった)、それらとは全く異なるこのサウンドに心の底から驚いた。そして「これだ」と思った。

この「ファイヴァリット・ペインティング」収録のアルバム…と書きかけたところで、この曲が12インチ・シングルでのリリースのみだったことを思い出した。'82年10月の「Deux Triangles」。3曲入りでこの他には"Zinni"と"Piece for out of tune Grande Piano"が入っていた。そして"Zinni"も名曲で…



アルバムとしては'81年の『LC』と、'83年の『アナザー・セッティング』が人気だった。そして『LC』に「Deux Triangles」を足して46分テープにダビングするのが大流行していた(笑)。
ドゥルッティ・コラムは"バンド"とは名乗っていたが、実質的にヴィニ・ライリーという痩身のイギリス人のソロ・プロジェクトで、一応固定的に参加しているのはドラムのブルース・ミッチェルくらいのものか。

元々はパンクのギタリストだったヴィニ・ライリーがパンクの在り方に疑問を持って始めたバンドと言われている。今回、ある世代には苦笑されるようなタイトルを付けてしまったが、'80年代の前半、特に'81年から'85、86年頃まで、「過激にブチ壊したり、ビートに合わせて踊り狂っていたていた今までの10年とはちょっと違うのではないか?」と人々が立ち止まって考え始めた時期でもあったのだ。ポストモダン、ニューアカデミズム、そんなものが出てきた頃でもあった。

しかし!理屈はこれくらいにする。実は実はこのドゥルッティ・コラム、私の個人的なサウンドのツボに完全に合致していたのだ。だから狂ったのだ。時代性とか、ポストモダンとか、そんなことはホントはどうでもイイ!!

ディレイのかかった遠くで鳴るピアノやギター、特にペナペナなストラトが大好きなのである。そんなサウンドあちこちにあるかって? ありますよ。古くはジョニ・ミチェルの名盤『逃避行』。



ザ・バンドの『ラスト・ワルツ』の影響もあり、1曲目の「コヨーテ」が有名だが、このアルバム、全体を通じてなんとも"遠くで鳴っている"感に溢れていた。ジョニはこの感じが好きなのか、'98年の『テイミング・ザ・タイガー』でも似たようなサウンド・メイクになっていた。

全くジャンルは異なるが、ドイツのプログレ・バンド、ポポル・ヴーも似た音創りをする。1曲挙げるならばこれしかない。ヴェルナー・ヘルツォーク監督作品『フィツカラルド』の"Als Lebten Die Engel Auf Erden"だ。



いつかやろうと思っていた、ドゥルッティ・コラム-ジョニ・ミッチェル-ポポル・ヴーの比較が遂に出来た(笑)。なぜこのサウンドが好きなのか、自分自身でも実はまったくわからない。数年前に書いたが『フィツカラルド』は私が観た1000本以上の映画の中のベスト2で、そしてドゥッルティ・コラムの「Deux Triangles」は高校時代に最も震えたシングルで…そうした想いがごちゃまぜになっているのだろう。なんとも収拾のつかない文章になってしまった。少々失敗…。

※ヴィニ・ライリーの近況について、ここ2年ほどネットで色々と話題になっているのですが、ここでは詳しくは触れません。リンクだけ張っておきますので、みなさんの自己責任でご覧ください。

http://cloudbuster.lowlife.jp/2013/01/blog-post.html
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