- 2015-09-24
- 映画

「1980年代の中の1960年代」4回目。前回、「クレージー映画と植木等が1980年代に突如復活」と書いたが、実はこの時期、同じ東宝の若大将シリーズも復活していた。なんだったんだろうあれは?!
私は当時中学生だったが、これもまたうっすらと覚えている。まず1970年代の後半に、なぜか大学生の間で若大将シリーズのオールナイト上映が話題になった。1975年から79年頃のことだ。
当時の大学生と言えば1950年代後半生まれ。加山雄三の初代若大将シリーズは1961年から1971年までだったので(正確に言うと'70年以降の三作は二代目若大将として大矢茂が中心的存在だが)、小中学校時代に流行っていた若大将を懐かしがってということだったのだろうか。ついでに言うと、同じ東宝の内藤洋子(喜多嶋舞の母親)の恋愛映画もオールナイトの人気作品だった。
そんな人気に目をつけた東宝はまずニュープリントまでして「若大将まつり」なる全国規模のリヴァイヴァル上映を行う。代表作ともいえる『エレキの若大将』('65)で劇中の「君といつまでも」に合わせて観客の大合唱が起こった、興奮したファンが映画館のイスを壊した…等々、数々の伝説が生まれたのはこの時だったろうか(さすがに古すぎて記憶が曖昧…)。
さらに商売人、藤本眞澄東宝映画社長は三代目若大将として草苅正雄を起用し2本を作るが、こちらはアタらず。そもそもこれは「復活」とは言えないので今回はあまり関係がナイ。
そして1981年、どうしたものだか元祖若大将・加山雄三が復活。10年振りの新作『帰ってきた若大将』が公開される。制作の背景には若大将シリーズのリヴァイヴァル・ブームのほか、シリーズ公開20周年記念、6億円の借金と2億円の税金滞納を完済した記念、等々、色々な意味があったようだ。劇中でニューヨーク・シティ・マラソンを走る加山(当時43歳)の姿は、若大将シリーズ終了後の逆境と闘う自らを表したものであったとか。ちなみにこの『帰ってきた若大将』は配給収入10億円という堂々たるヒットを記録した(同時上映はたのきんトリオの『青春グラフィティ スニーカーぶる~す』)。
さて、この「1961年から71年まで続いた大ヒット映画を、5~10年後に再評価する感覚」というのが非常に気になる。ここ数回続けて書いた1980年代に於ける1960年代再評価を考えることは、「日本人にとって1960年代というのは何だったのか」を考えることに等しい…のではないだろうか。
単純に時間軸だけとってみれば、2015年のいま、2000年から2010年までの10年間を"リヴァイヴァル"として再評価し、当時の作品にオマージュを捧げるようなナニカを作ることも出来るが、果たしてそれが意味のあることなのか? 時代の意味が薄れているような、時代の変化がサチっているような…。
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