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第71回-ニッポンのテレビジョン

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アメリカ大統領選でのトランプ勝利後、NYトランプタワー前でレディ・ガガが掲げた「Love trumps hate.」-「愛は憎しみに勝る」を日本のテレビ局が「トランプは嫌い」と誤訳。「どう読めばそうなるんだ?」と日本中を唖然とさせたことは記憶に新しい。あのとき私は、「なんだか昔も似たような話があったなぁ…」と思った。

2002年頃だったと思う。フジテレビで高校生のアカペラ・グループを応援する企画があり、優勝グループがニューヨークに行く回をたまたま見た。彼らはストリート・ライヴを行い、「イマジン」を歌った。

別に彼らに非はない。そこで流れたナレーション「曲は『イマジン』。9.11以降、アメリカの各地で歌われた曲だ」に問題がある。私はそれを聴いた瞬間、唖然とした。

9.11以降、全米のラジオ局は160曲に及ぶ"lyrically inappropriate"(不適切な歌詞を持つ)songsリストを作成、「イマジン」もそれに含まれオン・エアも演奏も自粛、いや、封印された。戦争を放棄し、宗教も国境も関係ない、世界はひとつなどという歌は、これからイスラム圏に反撃をするわが国に相応しくないというわけだ。「各地で歌われた曲」は全くの間違い、正反対である。

しかし! 同時多発テロからわずか10日後の9.21、かのニール・ヤングが、しかもよりによって9.11犠牲者の追悼ライヴでこの曲を歌う。このパフォーマンスは賛否両論を呼び、我々ニッポンのロック・ファン(の一部)はその姿に震え、涙した。これこそがロックだと。



確かにこのニール・ヤングのパフォーマンス以降、ラジオ曲にリクエストが殺到したり、サー・アイバンによるクラブ・ミックスがチャートに登場したりということもあった。だが、「イマジン」と言えば9.11によって虐げられた曲の象徴。それを「アメリカの各地で歌われた曲」などとひとことで片付けられるのだろうか? 中途半端なナレーションなら、付けない方がマシではないだろうか?
ロックとは、バラエティ番組のスタッフが考えている以上に深く、複雑で、重い意味を持つものだ。だから半世紀近く聴き続けて、いまだに飽きずにいる。

もう15年も前のことで、さらには「いや、そうした事情も踏まえて、ちゃんとナレーションしたのだ」という声もあるかもしれないが、ニッポンのテレビ局と米国文化との間には、何か大きな溝があるように思う。なんだか、住む世界が異なるような…。
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